東洋医学と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
はり治療や漢方薬、あるいは、タイ式マッサージや足ツボ療法など。
また神秘的な治療、もっと言えば魔法のような医学。
そんなイメージがありませんか?
「はりを刺したら、すぐに腰が良くなった」とか、
「普通の薬じゃ治らなかったのに漢方薬を飲んだら治った」など、
特効薬的なニュアンスを与えてしまうことは多いようです。
先端医療の西洋医学に対して、神秘的な東洋医学という構図。
とっつきにくい医学と思われがちですが、
実は本来の東洋医学の姿は皆さんの身近にあるのです。
例えば、食べ物や運動、自然の回復力、
それぞれの環境のレベルにあった健康対策と体力作り。
これらの基本は自分にしかない治療法。
つまり「自分の体は自分で治す」という根底が、そこにあります。
東洋医学とは、魔法でも何でもなく、
自分の体の健康意識を高め、認識していく医学なのです。
西洋医学と東洋医学の決定的な違い
西洋医学と東洋医学の決定的な違いとして
「西洋医学は病気を見る」「東洋医学は人を診る」
というのがあります。
西洋医学は分析と統計です。
病気が起きたら、まず
その原因ウィルスなどを探して殺すことを考えます。
これまで積み上げてきた知識を駆使して
病気がどういうものかを見ます。
ウィルスを見つけ出し
殺せば病気は治るというものです。
一方、東洋医学が言う「人を診る」とは
本来、人間にある抵抗力や回復力を自然に引き出させ
自力で病気を退治するという考えです。
ですから、その力の引き出し方は人によって様々で異なります。
風邪をひいたらこの薬を飲むという単純なものではありません。
「病気だけを見ない」「人を診る」ということですから
多面的に病気になった人を診ていきます。
肝臓が悪いからといって肝臓だけを診るのではなく
他の臓器、例えば、心臓や肺、胃などを同時に診ていくことになります。
これは、いずれ「陰陽五行論(いんようごぎょうろん)」という項目で触れいきますが
東洋医学は「病気を一つの原因だけで診ない」
という考え方に成り立っています。
(つづく)
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第一節 東洋医学とは その2