第一章 基礎理論 東洋医学とは

第一節 東洋医学とは その1

東洋医学と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

はり治療や漢方薬、あるいは、タイ式マッサージや足ツボ療法など。

また神秘的な治療、もっと言えば魔法のような医学。
そんなイメージがありませんか?

「はりを刺したら、すぐに腰が良くなった」とか、
「普通の薬じゃ治らなかったのに漢方薬を飲んだら治った」など、
特効薬的なニュアンスを与えてしまうことは多いようです。

先端医療の西洋医学に対して、神秘的な東洋医学という構図。

とっつきにくい医学と思われがちですが、
実は本来の東洋医学の姿は皆さんの身近にあるのです。

例えば、食べ物や運動、自然の回復力、
それぞれの環境のレベルにあった健康対策と体力作り。

これらの基本は自分にしかない治療法。

つまり「自分の体は自分で治す」という根底が、そこにあります。

東洋医学とは、魔法でも何でもなく、
自分の体の健康意識を高め、認識していく医学なのです。

西洋医学と東洋医学の決定的な違い

西洋医学と東洋医学の決定的な違いとして
「西洋医学は病気を見る」「東洋医学は人を診る」
というのがあります。

西洋医学は分析と統計です。

病気が起きたら、まず
その原因ウィルスなどを探して殺すことを考えます。

これまで積み上げてきた知識を駆使して
病気がどういうものかを見ます。

ウィルスを見つけ出し
殺せば病気は治るというものです。

一方、東洋医学が言う「人を診る」とは
本来、人間にある抵抗力や回復力を自然に引き出させ
自力で病気を退治するという考えです。

ですから、その力の引き出し方は人によって様々で異なります。
風邪をひいたらこの薬を飲むという単純なものではありません。

「病気だけを見ない」「人を診る」ということですから
多面的に病気になった人を診ていきます。

肝臓が悪いからといって肝臓だけを診るのではなく
他の臓器、例えば、心臓や肺、胃などを同時に診ていくことになります。

これは、いずれ「陰陽五行論(いんようごぎょうろん)」という項目で触れいきますが
東洋医学は「病気を一つの原因だけで診ない」
という考え方に成り立っています。
(つづく)

第一節 東洋医学とは その2
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