「気」というのが何であるか、「気」についての最初の話シリーズとしてお話してきました。
陰陽五行論(いんようごぎょうろん※後に述べますが、自然現象を解釈する一種の思想方法)の基礎となる万物生成の根源を求めると、それは文字通り「元気」ということになります。
その始まりは「気」と同時に「形(けい)」「質(しつ)」が表れます。
そして、気の始めを「太初(たいしょ)」、形の始めを「太始(たいし)」、質の始めを「太素(たいそ)」と言います。
ここに、気・形・質が備わって、これを3つの「気」として、それぞれ1つの概念を表します。
この3つの「気」の前は、何もない状態、混沌とした状態です。
ここから自然は集合離散を重ねて、それぞれが「太極(たいきょく)」として、初めて万物の根源を生みます。
何だか難しそうな話ですが、我々人間が、いえ、それ以前の生き物の始まりは何なのか、もっと言えば、地球が生まれたの素は何なのかということです。
物理学や化学、生物学での地球誕生を描いているのではなく、中国哲学思想ということでの話です。
「太極(たいきょく)」とは「天地、万物の生成する根元の気」ということで説明していますが、そこにいたるまでの始まりです。
始まりの始まりということですから、少々戸惑ってきますね。
そして、ここに表れた「気」が「陰陽五行」へと続きます。
中国古典医学書医学では「気」を実体概念、現物にあるものとして調整し、医学と哲学を結びつける重要なものとして考えました。
身体も気の存在と同時に把握され、気の集合して活躍したものを「健康」、気の離散したものを「死」、その中間を「病」としました。
以上、「気」とは何かという話をお伝えしてきました。
これを具体的に、万物と形質を5つの気「五気」として表したものが「五行論」となりますが、これはまたいずれお話したいと思います。
(気の話・おわり)
○参考文献
黄帝内経素問、黄帝内経霊枢、黄帝鍼灸甲乙経、鍼灸聚英、類経圖翼、景岳全書、圖註難経脉訣、脉経、病源辭典、難経の研究、経絡治療講話、鍼灸病証学、傷寒論講義、脉法手引草、内経知要、東医宝鑑、腹証奇覧、子午流注説難、中医学入門、本草綱目、中医指南、国医指南、鍼灸科学、内経解剖生理学、中華医学大全、中医診断釈義、診家正眼、淮南子、気の思想