古典医学書から学ぶとは
東洋医学の祖に「黄帝内経(こうていだいけい)」という書物があります。
中国古典医学書医学(古医書医学)を元にはり治療をする者にとっては教科書的存在の書物です。
ここには自然の治療のあり方とか万物の根源などを解き明かしたことが書かれています。
僕にとっても無くてはならないものです。
これは医学書であると共に中国哲学の書物としても確立しています。
本書を基本に勉強する鍼灸師以外にも東京大学など大学の講座として専門分野で扱っています。
解読そのものは非常に難しいものです。
なぜなら、これは幾千通りもの解読と解釈があるからです。
先に言いましたように、医学書としての解釈のほか中国古典哲学書としての解釈と見方もあります。
「学問的解釈」と「臨床的解釈」の違いは当然出てきます。
これを念頭に置きまして、臨床的な角度から現代の生活に役立つ話をしていきます。
人類の遺産
中国古典医学書、黄帝内経(こうていだいけい)の話ですが注釈として記しておきたいことがあります。
この書物は現存する最古の医学書と言われています。
様々な説がありますが、その編集は「約二千年前の書物」とされています。
現在、まだ解明されていない点や不明な箇所、解読しきれていない部分が多数あります。
医学だけではなく、当時の生活環境や風習、世相まで今の我々からみれば、わからないこともまた数に限りがありません。
我々は解明の継続をしている段階です。
今後、まだ見つかっていない別の書物の発見によって新しいこともわかるかもしれません。
言ってみれば、読み込む事は考古学者たちが古代エジプトを調べるために、古代文献や遺跡、出土品などの発掘、ピラミッドの謎を解き明かす作業をしているのと何ら変わらないのです。
つまり、この書物の勉強は医学や哲学であるのと同時に、歴史学や考古学と言ってもいいのかもしれません。
ですから、この書物を読み、解読し、治療していくことで人類が成長していくのなら、それは「人類の遺産」となっていくものなのです。
ここで扱う黄帝内経の他にも中国古典医学書はいくつか存在します。
これからまた新たな書物が見つかれば他の考古学と同様に歴史的発見となるかもしれません。
身近にある健康や体のことを記したものですから、そんな言い方も、それほど大袈裟ではないでしょう。
中国古典医学書を勉強するのは、そんな面白みもあるという事なのです。
(つづく)
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第二節 古典医学書から学ぶ その2