第一章 基礎理論 古医書医学から学ぶ

第二節 古典医学書から学ぶ その3

約二千年前の医学書が現代人に通じるものを残した」

古医書である「黄帝内経(こうていだいけい)」は約二千年前に編纂(編集)されたと言われています。

ですから、これは大昔の話になります。

大昔の人が、もっと大昔の人は養生に精通し素晴らしかったと説明。

「それに習えば長生きが出来て、病気もしない」というスタンスで、この医学書は構成されています。

(当時の)現代人は不摂生が過ぎ、堕落した生活を送っている。

だから、病気をするし、早死にもする。

主治医から、こう説明された時の権力者である黄帝(こうてい)は、その危機を感じ、改善の方法を聞いていきます。

病気なった時の治療法や病気にならない方法など、問答形式で進められていく訳ですが、このような構成は他に類を見ません。

医学という専門分野を扱っていますが、その解説と説明を延々と羅列したものではありません。

物語のようにも読めますし、随筆やエッセイ、日記にも似た、ある意味、わかりやすく医学を語っています。

その内容ですが、現代医学では謎であり、ミステリーとも言える箇所がいくつも出てきます。

西洋医学では説明しきれないものも書かれています。

ですが、よく読んでみると、「実に理にかなった解析」がされているのです。

西洋医学は統計と分析と言われていますが

実は、約二千年前のこの時、すでに体のことが分析されていました。

それをわかって、「こうした方がいいよ」という解説書がある訳ですから、それこそ、神秘かもしれません。

時間をさかのぼり、世界を見ると、例えば、天変地異で一夜にして消えたという「アトランティス大陸文明」が約一万二千年前と言われてます。

エジプト文明やマヤ文明(共に紀元前約三千年説)等より古い文明が存在したという説もありますし、黄帝内経の言う昔の人とは、この時代のことを言うのかもしれません。

その時に残した医学が中国に渡って編集されたという仮説も考えられますが、ここまでくれば、おとぎ話の世界です。

その謎はわからないままですが、「約二千年前の医学書が我々現代人に通じるものを残した」というのは明らかなのです。

人の生命活動と自然環境は親密に関係している

中国古典医学書(古医書)である「黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)」のお話をしています。

その中より、ひとつのテーマとして「自然は大切だ。自然の中に人間は生きている」という話があります。

自然というのは山や川、森林などのことだけを指すのではありません。
自然と自然界に生きる私達人間の相互関係を示したものでもあります。

自然を分類すると、宇宙万物において「天体を大宇宙」とし、「身体を小宇宙」とします。
そして、そこから身体に表れる様々な現象を固定的に(決め付けて)見るのではなく
いかに身体が天体、自然にかかわり合って変化していくかを考察。

それは「身体生命の根源はこの天体、自然(天地)にあるという思想」と「天と地が密接に絡んでいるという思想」を表していきます。

例えば、人間は生きていくために、食物も水も空気も全て自然に頼っています。

食物とする肉、魚、野菜、果物、水などは全て、この天と地の産物であります。

この相互関係を具体的に表したものが生きる、生きていくということにつながっていきます。
これを「黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)」では「天は人を食うに五気(ごき)を以(も)ってし、地は人を食うに五味(ごみ)を以(も)ってす」と言っています。

つまり、自然と身体との連絡は呼吸の気(五気)と飲食の気(五味)によって、その働きを示しています。

人の精神活動もこれによって養育されていたということを認識していたことがわかります。

ここで言う、五気や五味などの「気」については、これから説明していきますが、「黄帝内経」は自然において人の生命活動と自然環境は親密に関係しているということを伝えています。

そして病気や死についての論述、それに対しての改善方法が示されているのです。
(2 古典医学書から学ぶ おわり)

※次回「3 気の話」

第三節 気の話 その1
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