鍼灸治療の流派について

鍼灸治療にはたくさんの流派があります

流派がたくさんあるせいで
鍼灸治療とはこういうものだ!
と一言では言い表せません

そこで中国古典の鍼灸からみた
鍼灸の流派について少しお話しします

治療に使う学問や技術に対する考え方で分けています

鍼灸の流派が多い理由

流派という限りは
受け継いでいくものだと思います

一代で築き上げたものは名人と言います

ここでは治療に使う学問や技術を
受け継いで未来に伝えようとする内容を
流派と呼ぶことにします

鍼灸に流派が多いのは
昔からある鍼灸治療が受け継がれていくごとに
考え方が分かれて行ったからだと思います

鍼灸治療を大きく分けると

  1. 東洋医学の古典哲学である陰陽五行にそった治療
  2. 古典に書いてある、この病気にはこのツボという経験則治療
  3. 痛いところに直接はりする鍼灸治療
  4. 現代科学や解剖学を用いた鍼灸治療

1から4のような治療法に分かれると思います

徳田漢方はり院は東洋医学の理論にそった治療

1は私が学んだ治療法です

黄帝内経素問、霊枢、難経、脉経
といった古典書物の治療理論を使っています

古典書物には自然や人間の見方考え方分析法などが
書いてあります

この流派の利点は診断、治療、生理学、病理学が
セットになっていることです

治療して診断通りになったかどうかが
古典の理論でわかるということです

診断を患者さんの主訴や症状でなく
患者さんのカラダの状態を診て
全体を陰陽五行の法則にしたがうようにする

診断した通りに患者さんの状態が動いていけば
患者さんの主訴が取れていなくても
治療は終了してよいことになります

患者さんは自分の思っているところが治らないと
まだ治ってないと言いますが仕方ありません

人間の体、人間の免疫が治すのですから
カラダ自身がベストな方法を選びます

主訴から治してくれるとは限りません

患者さんが思っているのと
違う順番で治っていても、ここがこういう風に治っているから大丈夫です
と古典の理論で言えればこの流派で食べていけます

よいところはばかりに見えますが
この治療法は古典のものの見方考え方を使いますので
学問の理解が難しいのが欠点です

この病気にはこのツボという治療法

昔の先生たちの苦労によって打ち立てられた
経験則の鍼灸治療です

この病気にはこのツボという治療法ですが
ほとんどの治療院がこの治療法でしょう

病気によって、症状によって、治療法が変わります

病気によって治療法が変わるのは当たり前だ!
と思われたかもしれません

わたしの使っている1の流派ですと
違う病気にも同じ治療法を使うこともあります

同じ病気でも違う治療をすることもあります

同病異治、異病同治といいます

症状や病名でなく、その時のカラダの様子で
診断しているからそうなることもあるのです

この流派の良いところは
初心者でもある程度結果が出せるかもしれないことです

治療法を知っているか
治療法を知らなくても
アレンジして思いつくかどうかです

わかりやすいですから
患者さんへの説明も楽です

患者さんも納得してくださることが多いでしょう

ですが欠点もあります

  • こういう風に古典に書いてある
  • えらい先生がこう言っている

という根拠で治療をして
もしうまくいかなかった場合はどうでしょうか?

どう方向で治療を修正していいのかわからなくなるでしょう

そこが大きな欠点だと思います

痛いところに鍼をする流派

これは鍼の刺激や鎮痛作用を使った治療です

人間の体に刺激を加えると
それに反応して血流が良くなります

鍼をしたり揉んだりすると赤くなってくるのは
身体が物理刺激に反応している証拠です

鍼がクセになると言われているのは
この治療法のことです

刺激療法はその刺激がなくなったら
身体は血流を集めません

またその刺激に体が慣れると
身体は血流を集めるのをやめます

鍼刺激が効かなくなってきますので
治療家はどんどん刺激を多くします

とはいえ、刺激療法は症状を一時的に抑えるためには
とてもよい治療法です

応急的な治療法として
とても価値があります

現代科学や解剖学を用いた鍼灸治療

症状を筋肉や筋膜で考えたり
神経の走行部位で診断して治療します

根本治療を目指していますので
有効な方法かと思います

トリガーポイント療法などがこの流派です

私は詳しくないので推測ですが
この流派で鍼灸である利点は少ないのではないかと思います

おそらく麻酔薬などを使って
直接的に筋肉や神経を鎮静させた方が良い結果かもしれません

鍼灸に流派が多いこと

考え方の違いなどのご参考になれば幸いです

徳田漢方はり院        徳田和則

  • この記事を書いた人

徳田漢方はり院- 徳田和則

先代から受け継いだ伝統鍼灸を次世代に伝えたいと思っています

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