治療回数のめやす
「あと何回通えば治りますか?」——初診の方から、私がいちばんよく受ける質問です。そして正直に言うと、鍼灸師にとっていちばん答えるのが難しい質問でもあります。

「何回で治りますか?」に正直にお答えすると
はり治療にはすぐれた効果がありますが、魔法ではありません。数回の治療で、すべての病気が良くなるものではありません。
どのぐらい治療を受ければ治るのか、計画を立てたいお気持ちはよくわかります。私の答えは「回数がわかるものと、わからないものがある」です。簡単に言うと、急性の症状と慢性の症状では回数が違います。以下、詳しくお話しします。
急性の症状 — 3〜5回を目標に
ぎっくり腰、寝ちがえ、スポーツでの筋肉疲労など、原因がはっきりしている場合は、3〜5回の治療を目標にしています。
「症状はこんなに激しいのに、それだけで済むの?」と意外に思われるかもしれません。東洋医学では、激しい症状は、体が邪気(じゃき=体調を乱すもの。冷えや暑さといった気候の変化、強いストレスなど)にしっかり抵抗している証拠と考えます。抵抗できるだけの体力が残っているから、反応も大きく出るのです。だからこそ、急性の症状は見た目の激しさのわりに、早く落ち着くことが多いのです。
実は、診察をして「これは急性の症状だ」とわかると、私は内心ほっとしています。激しく見えても、スッと良くなることが多いからです。
慢性の症状 — 回数を先に決められないことが多い
どんな症状でも、出てからの期間が短いほど治療回数は少なくて済みます。早く治療を始めるほど、効果も早く現れます。
一方、いろいろな病院でも治せなかった慢性病については、長く時間がかかることが多いです。
じつは慢性の不調は、急性とは逆に、症状そのものは小さいことが多いものです。体力が落ちていて、体は治そうとしているのに、治そうとする力が小さい——だから症状も小さく出ます。この場合、症状を追いかける前に、まず体力をつけるところから始めることになります。体力がつくまでには時間がかかりますし、調子が良くならないと体力もついてきません。だからこそ、あらかじめ治療回数をお約束できないことが多いのです。
最初は週2、3回 — 私が「落ち葉掃除」とお話しする理由
急性・慢性いずれの場合も、最初のうちは治療の効果を確実なものにするため、あまり間を空けずに週2、3回くらいで治療をお受けいただくようお願いすることが多いです。
なぜ間隔を詰めるのか。私は患者さんに「秋の落ち葉掃除みたいなものですね」とお話ししています。
治療というのは、体の流れを良くするための掃除のようなものです。ただし、1回の治療でできる掃除の量は決まっています。欲張ってやりすぎると、瞑眩(めんげん=治療後に一時的にだるさなどが出る反応)が出て、かえってつらくなることがあるからです。側溝の掃除にたとえると、1回で落とせる汚れは3〜4割ほど。しかも、掃除のあとも落ち葉は毎日すこしずつ降ってきます。普段の生活の中で、疲れや汚れは溜まり続けるからです。だから、落ち葉が積もってしまわないうちに、次の掃除をする。間隔を詰めてお願いするのは、そういう理由です。
3ヶ月以上続く慢性症状の場合
3ヶ月以上続いている慢性症状が、2、3回の治療で完全に良くなることは無いと思われます。
ただ、お悩みの症状がすぐに取れなくても、自然治癒力(=体が自分で治ろうとする力)が上がってくると、2、3回の治療でも
- 体や動作が軽くなる
- お腹がすいて、食べ物が美味しく感じる
- 呼吸が楽になる、胸がスーッとする
といった、カラダ全体に対する効果が現れることがあります。そのとき、身体は健康な状態に向かっています。
実は、こうした変化は施術する私の側にも見えます。
ツボが正しく取れて治療がうまく運んでいるとき、皮膚につやが出て、お腹が少しふっくらと柔らかくなります。私は脈やこうした体表の変化を確かめながら、治療が進んでいるかどうかを毎回判断しています。
病気の根本の原因はまだ取れていませんので、良くなったり悪くなったりするかもしれません。
それでも、治療をはじめる前と比べて体が軽くなっているときは、治療は成功しています。
自然治癒力を高めるには、ある程度の時間がかかります。
ご自分の症状が「急性」か「慢性」か、わからない方へ
LINEで「いつから・どんな症状か」を送ってください。
急性か慢性かの見当と、通い方の目安の考え方をお答えします。(LINE相談・24時間受付)
一回でも早く治りたい方には、食事や生活習慣も
一回でも早く治りたいと願うのは当然ですし、治療をする側の私もまた、一回でも早く改善していただきたいと思っています。ですから当院では、治療と同時に、食事の内容や量、生活習慣などを東洋医学の理論に基づいたものに近づけていくことが大切と考えています。
ありきたりに聞こえるかもしれませんが、基本は「悪いものを減らして、いいものを取り入れる」に尽きます。ひとつだけ挙げるなら、減らしたいものの代表は砂糖です。甘いもの(人工甘味料も含みます)を控えること。そして取り入れたいものの筆頭はタンパク質。体を作る材料そのものだからです。私が診てきた虚弱体質の方は、ほとんどの場合タンパク質が足りていません(体力のある方はたいてい足りているので、この指導はしません)。
食事や生活習慣については、詳しくはこちらをご参考ください。(※リンク先は元記事のまま)
おわりに — 「自分の場合は?」が気になったら
ハッキリと回数をお答えできず、もどかしい思いをさせてしまうかもしれません。ただ、一度お体を診せていただければ、体力があるかどうか——つまり、短くて済みそうか、時間がかかりそうか——の目安はお伝えできます。「自分の場合はどうなのか」が気になる方は、遠慮なくご相談ください。
ご相談・ご予約はこちらから
質問だけでもお気軽にどうぞ
当院は札幌駅から徒歩2分です。お仕事帰りにも通いやすい場所でお待ちしています。
