Yaoya

はじめに

季節に合った食材を摂ることは、昔から健康維持の基本とされてきました。特に「旬」の時期の野菜には、その季節に必要な栄養やエネルギーがたっぷり含まれています。東洋医学(漢方や鍼灸理論を含む)の視点でも、自然界の流れと身体のバランスを同調させることが重要とされ、旬の野菜を取り入れることは心身の健康維持につながると考えられています。

しかし近年はハウス栽培や輸入技術の発達によって、年間を通してさまざまな野菜が手に入り、どれが本当の「旬」なのか分かりにくくなりました。

記事では、そうした疑問を解消しつつ、東洋医学の基本概念である「陰陽(いんよう)」を用いて春夏と秋冬の2つに分ける方法を中心に解説します。春夏野菜と秋冬野菜の違いや、それぞれが身体に及ぼす作用、さらに食べ方や選び方のポイントなどもわかりやすくご紹介します。

1. 旬の野菜が身体に良い理由

● 季節ごとに必要な栄養素が違う

  • 季節と栄養の相乗効果
    春夏は気温が上がり、身体に余分な熱がこもりやすくなります。そのため、水分やビタミンを多く含む野菜が増え、体をクールダウンしてくれる働きが必要です。
    一方、秋冬は寒さから身体を守るためにエネルギー消費が増えます。その時期に旬を迎える根菜類などは、身体を内側から温めるのに適した栄養を豊富に含みます。
  • 栽培条件と栄養価の関係
    自然の気候や土壌で育った野菜は、ハウス栽培などの「無理やり」育てる方法と比べて、風味や栄養価が高い傾向があります。東洋医学では、自然のリズムに調和して育った作物ほど、人間の身体の陰陽バランスも整いやすいと考えます。

● 東洋医学における「陰陽」とは

  • 陰陽の基本
    東洋医学では、森羅万象を「陰(いん)」と「陽(よう)」という2つの性質に分けて捉えます。一般的に、夜・寒さ・静などを陰とし、昼・熱・動などを陽とします。
  • 食材も陰陽に分けられる
    食材は身体を冷ます性質(陰性)や身体を温める性質(陽性)を持っているとされます。これをうまく活用することで、季節ごとに変化する身体の状態を整える助けとなるのです。

2. 「春夏」の野菜と「秋冬」の野菜を陰陽で見分ける

旬の野菜を四季で4つに分けようと難しく考えず、まずは2つに「春夏(陽)」と「秋冬(陰)」に分けるだけでも、どの野菜を食べれば良いかの目安が立てやすくなります。ここでは、東洋医学の陰陽理論を使いながら、野菜を二分する簡単な方法をご紹介します。

● 春夏(陽)の野菜

  • 特徴
    • 地面より上で育ちやすいものが多い
    • 生で食べられることが多く、水分を多く含む
    • 味が淡泊(あっさり)で、身体の余分な熱を取り去りやすい
  • 具体例
    キャベツ、レタス、新タマネギ、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、アスパラガス、など
  • 身体への作用
    • 体をクールダウンする
    • 余分な熱を取ってさっぱりさせる
    • 水分・ミネラル補給にも役立つ
  • 食べ方のポイント
    • 生食のサラダが基本。夏バテ気味のときは、酢や柑橘類、適度な塩分と合わせると、さらに食べやすく栄養吸収も高まります。
    • 暑気払いとしても有効。例えばトマトやキュウリを冷たい状態で食べると、熱がこもりがちな体をクールダウンしてくれます。

● 秋冬(陰)の野菜

  • 特徴
    • 根菜類、あるいは地面近くで育つものが多い
    • アクが強めで、生食には向かず、煮たり焼いたりして食べる
    • 身体を温める作用がある
  • 具体例
    大根、レンコン、ゴボウ、ホウレンソウ、ハクサイ、ネギ(長ネギ)、カボチャ、サトイモなど
  • 身体への作用
    • 内臓を温めて冷えから守る
    • 栄養が凝縮され、滋養に富む
    • 免疫力の向上をサポート
  • 食べ方のポイント
    • 煮物や鍋料理に最適。寒い時期に温かい汁物や煮込み料理でコトコト煮ると、体の芯から温められます。
    • アクが強い分、下茹でやアク抜きをしっかり行うと食べやすくなり、栄養吸収にも役立ちます。

3. 季節をもっと細かく見る「二十四節気」と五行(ごぎょう)

東洋医学では、陰陽だけでなく「五行(木・火・土・金・水)」という概念も用いてより詳細に季節や人体を分析します。さらに暦の上では「二十四節気(にじゅうしせっき)」という一年を24の節目に分けた考え方を取り入れ、微妙な気候の変化も捉えます。

  • 五行とは?
    木・火・土・金・水という5つのエネルギーに自然界の万物をあてはめる東洋哲学の枠組みです。臓器や感情、味覚、季節などをそれぞれの行に分類することで、身体と自然の関係を深く考察します。
  • 二十四節気とは?
    立春、立夏、立秋、立冬など、1年を24の節気に分けた古くからの暦。農作物を育てるタイミングの目安としても使われてきました。

初心者の方が一度に五行や二十四節気まで取り入れるのは少々ハードルが高いかもしれません。まずは「春夏」「秋冬」の2つに大別して、旬の野菜を取り入れることに慣れてみましょう。その上で興味が湧いたら、五行に合わせた食事や二十四節気の考え方にもチャレンジしてみてください。


4. 旬の野菜を楽しむためのヒント

● スーパーや直売所での選び方

  • 産地表示をチェック
    自分の住む地域に近い産地の野菜は、よりその季節の影響を受けたものが多く、鮮度も高い傾向があります。

● 一年中手に入る野菜との付き合い方

  • ハウス栽培や輸入で一年中手に入る野菜でも、やはり本来の「旬」の時期に食べる方が栄養価は高いとされています。

● 不安や疑問へのアドバイス

  • 「スーパーに旬じゃない野菜しかない…」と感じる時
    完璧に「旬」に合わせるのが難しい場合でも、意識を向けるだけで違います。季節の変わり目に、いつもの野菜に少し旬の食材をプラスするだけで身体の調子に変化を感じる方も多いです。
  • 無理せず、少しずつ取り入れる
    季節や体調に合わせて、料理のレパートリーを少しずつ増やしてみましょう。春夏野菜はなるべく生で涼感を、秋冬野菜は煮込みで温かさを。これだけでも季節のリズムに合った食生活になります。

5. まとめ ~季節との調和が身体を整える~

東洋医学では、「人間の身体は自然の一部」と考えます。自然界の巡りに調和してこそ、健康を維持できるという考え方です。だからこそ、その季節に合った旬の野菜を取り入れることが大切なのです。

  • 春夏の野菜
    体内の熱を冷まし、水分補給やビタミン補給に適している。
  • 秋冬の野菜
    体を温め、免疫力をサポートし、滋養に富んでいる。

まずは、季節ごとに「いまどんな野菜が自然に育ちやすいだろう?」と想像してみてください。そしてスーパーや直売所でその野菜を探して食卓に取り入れる――それだけでも、身体に良い影響を期待できます。さらに深く学びたくなったら、五行や二十四節気の概念を活用して、より細かく食材を選ぶ楽しみを広げてみましょう。


最後に:徳田漢方はり院から

旬の野菜は、単においしいだけでなく、健康や美容面でも大きなメリットがあります。特に東洋医学を専門とする立場から見れば、季節の力を借りて身体を整える一番の近道といえるでしょう。

もし「体質改善」や「冷え」「食欲不振」などのお悩みがある方は、一度、旬の食材の取り入れ方や食べ合わせ、さらに詳しい東洋医学のアドバイスを専門家に相談するのもおすすめです。自然と身体がシンクロしはじめると、健康維持もぐっとラクになります。ぜひ日々の生活に「季節と調和する食卓」を取り入れてみてください。


関連リンク