―赤ちゃんの健康を左右する「貯蔵鉄」を妊娠前から意識しよう―

1.妊娠と鉄の深い関係

「母乳さえ飲んでいれば赤ちゃんは健康に育つ」というイメージをお持ちの方は多いでしょう。しかし、母乳が「完全食」でないことは意外に知られていません。実は鉄分がほとんど含まれていないのです。これには、病原菌の増殖リスクを抑えるためという生物学的な理由があります。つまり、赤ちゃんに必要な鉄分は妊娠中に母体から“貯蔵鉄”として受け継ぐしかないのです。

1-1.貧血がなくても要注意

「自分は貧血でないし大丈夫」と思われるかもしれませんが、血液検査で異常値が出なくても**“隠れ鉄不足”** の可能性があります。貧血を判定する通常の健康診断では、赤血球数やヘモグロビン値しか測りません。しかし、妊娠中に赤ちゃんへ渡されるのは“フェリチン”と呼ばれる貯蔵鉄です。貯蔵鉄の不足は表面的な貧血症状と無関係に進む場合があるため、見逃されやすいのです。


2.鉄が不足したままだと起こりうるリスク

赤ちゃんの発育には鉄が欠かせません。なぜなら、細胞の成長や免疫機能、脳の発達などに深く関わっているからです。もし母体の貯蔵鉄が不足している状態で妊娠し、赤ちゃんが十分な鉄を受け継げない場合、免疫力の低下や将来の健康リスクが高まる可能性があります。

2-1.鉄不足のまま出産すると

  • 赤ちゃんの鉄不足が補いづらい
    免疫が未熟な乳幼児が食品から鉄を大量に摂ると腸内で細菌が増殖する危険があるため、生後すぐには食事経由での補給が難しい。
  • 様々な先天的リスクに影響
    鉄は赤ちゃんだけでなく、母体の免疫機能や内分泌バランスにも関わるため、出産後の回復にも支障をきたすケースがあります。

3.妊娠前にチェックしたい「貯蔵鉄」とは

妊娠前から鉄不足を防ぐために、最も重要なのがフェリチン(貯蔵鉄)の数値です。一般的な健康診断では計測しないことが多いので、**分子栄養学(オーソモレキュラー)**を取り入れている病院でフェリチン値を測定できるかを確認しましょう。

3-1.札幌近郊での受診例

札幌市内なら「札幌スポーツクリニック」など、貯蔵鉄の検査に対応している医療機関が選択肢として挙げられます。こうした施設で自分のフェリチン値を把握し、妊娠準備を進めるのがおすすめです。


4.鉄を効率よく摂るための食事ポイント

4-1.赤いもの=鉄分が豊富

魚や肉など、生で赤みが強い食材には鉄が多く含まれます。特にレバー、マグロ、カモ肉、卵黄、赤貝、ほっき貝などは吸収率の高いヘム鉄を多く含む食品として有名です。赤身の牛肉や豚肉も、良質なたんぱく質と同時に鉄分を取れるため積極的に取り入れましょう。

4-2.植物性の鉄分より動物性のほうが吸収率が高い

野菜や穀物にも鉄は含まれますが、動物性のヘム鉄は吸収が良いのが特長です。もちろんバランス良い食生活が重要ですが、妊娠前に“しっかりとした貯蔵鉄”を作るには、赤い肉や魚を意識的に選ぶと安心です。

4-3.サプリメントも活用

必要に応じて鉄のサプリメントを検討するのも一つの方法です。ただし、サプリはあくまで補助的な存在。摂取量や種類を間違えると胃腸に負担をかけてしまう場合もあるため、医師や専門家に相談しながら選びましょう。


5.鉄不足と東洋医学の考え方

東洋医学では「血(けつ)」の不足が冷えや体力低下を招き、妊娠しづらい身体になるとされます。血を養うためには栄養バランスの整った食事と内臓機能の改善が不可欠。貧血や冷えに悩む方は、鍼灸治療や漢方なども選択肢となりますが、まずは鉄分補給と胃腸のケアから始めてみると良いでしょう。


6.まとめ:妊娠前の“鉄不足対策”が未来を左右する

  1. 母乳に鉄分は含まれず、赤ちゃんは妊娠中に母体からの“貯蔵鉄”を頼りにしている
  2. 通常の貧血検査で異常がなくてもフェリチン不足はあり得る → 妊娠を考えるなら、フェリチン値の測定がおすすめ
  3. 赤い肉やレバーなど動物性のヘム鉄食品を意識的に摂取し、必要に応じてサプリメントを活用
  4. 東洋医学の視点では血の不足は体調を乱しやすい → 栄養・休養・適切な鍼灸などで身体を整える
  5. 鉄不足のまま妊娠すると赤ちゃんの発育や免疫にも影響が及ぶ可能性がある

妊娠を希望する女性にとって、鉄不足の解消は「赤ちゃんを迎える準備」の大切なステップです。隠れ鉄不足を早めに知って対策すれば、より健康的なマタニティライフにつながるはず。検査や食事の見直しを積極的に行い、鉄分をしっかり蓄えた身体で、安心して赤ちゃんを迎えましょう。