
はじめに:暑い夏でも、むくみは改善できます
朝起きたときに指輪がきつく感じたり、夕方になると足が重だるくなったり、、、
「むくみ」に悩む方は少なくありません。しかし、東洋医学の知恵があれば、体内の水分バランスを整え、少し快適に夏を過ごすことができます。
本記事では、「なぜ夏にむくみやすいのか」を分かりやすく説明し、今日から実践できる対策も書いていきたいと思います。
1.汗が十分出ないとむくむ
夏に十分な汗が出ない理由が3つあります
- 汗が乾かない
- 冷房で汗が出にくい
- 夏バテで汗腺が開かない
梅雨明け以降、空気中の湿度が高くなると、洗濯物が乾かないのと同じ理屈で皮膚表面の汗も蒸発しづらくなります。これにより、汗が乾かない状態が生じ、体外に出るはずだった水が体内に滞留し、むくみの原因になります。
かいた汗が皮膚に貼りついたまま冷房で冷やされるとそれは東洋医学でいう邪氣になります。体調不良の時に邪氣を受けると風邪っぽくなったり、のぼせたりします。
また冷房で体が冷えた後、暑い外に出た時、汗腺を開けるためには体力が必要です。東洋医学ではこれを三焦の気といいます。(三焦の気については後述します)
夏バテで体力がなくなり、この三焦の気が不足すると、汗腺の開閉に必要なエネルギーが足りず、汗の排出がうまくいかなくなります。
つまり、一気に大量に汗をかくよりも、じわじわと少量を出し続ける方が体は余分な水をスムーズに逃がせます。寝汗や急激な発汗を繰り返す方は、汗腺の開閉リズムが乱れやすいので要注意です。
2.夏バテで三焦の気が不足──水を運ぶポンプが弱る
東洋医学で“全身の水を動かす動力源になるのは五臓六腑のうち、 三焦(さんしょう)と呼ばれる臓器です 。東洋医学に馴染みのない方は初耳かもしれません。
三焦(さんしょう)とは?
上焦・中焦・下焦の三領域に分かれ、氣と水を全身に巡らせる“ポンプ”のような働きを担う、東洋医学独自の機能的な臓腑です。実際の臓器ではなく、役割を示す概念と考えられています。
暑さで体力(氣)や水分が消耗すると三焦が十分に働けず、水を運ぶ力が低下します。いわゆる「夏バテ」で食欲が落ちたり、寝不足が続いたりすると、体内の水が停滞しやすくなり、むくみが生じやすくなるのです。
3.むくみ対策:水分は“ほどほど”に、栄養とミネラルを手厚く
夏には水分不足を心配して「水をたくさん飲む」と考えがちですが、汗が蒸発しづらい環境では過度な水分補給がかえって停滞を招くこともあります。
大切なのは水分を調節する臓器である「三焦」を元気にして適切に水を動かすことと、汗で失われる ミネラル を補うことです。
3-1.栄養:豚肉で氣と血の材料をチャージ
豚肉はビタミンB群や良質なたんぱく質が豊富で、疲労回復とエネルギー産生をサポートします。
東洋医学では腎と脾を養い、氣血を生み出す食材とされ、弱った三焦をバックアップして水分代謝を助けます。
おすすめの食べ方
- 生姜や味噌と合わせて炒めると、発汗を促しつつ消化吸収もアップ
- 赤身と脂身をバランス良く摂り、エネルギー源とビタミンを同時に補給
3-2.ミネラル:味噌汁・野菜スープで電解質をキープ
味噌や野菜にはカリウム・マグネシウム・ナトリウムなど電解質がバランス良く含まれています。
常温もしくは温かい 味噌汁や野菜スープ なら、脾胃を冷やさずにミネラルを効率良く補えます。
ワンポイント
・冷えた飲料は脾胃と三焦の働きを鈍らせるため、なるべく常温以上で。
まとめ
夏に起こりやすい「むくみ」は、汗の蒸発不足や冷房による体温調節の乱れ、さらに夏バテによるエネルギー不足が重なって生じます。
東洋医学の考えでは、体内の水を巡らせるポンプ役「三焦(さんしょう)」が弱ることで水分が滞り、むくみやだるさにつながると考えます。
対策としては「水を動かす力」を回復させることです。暑くても冷房下でも、じわじわと適度に汗をかける状態を目指しましょう。
そのためには、①ビタミンB 群とたんぱく質が豊富な「豚肉」で氣と血の材料をチャージし、②カリウムやマグネシウムを含む味噌汁・野菜スープでミネラルを補い、③冷たい飲料は控えて常温以上の飲み物で脾胃を冷やさないことが大切です。
これらを意識すると、余分な水がスムーズに排出され、むくみやすい夏でも軽やかな体調を保てます。
ご参考になれば幸いです!