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徳田漢方はり院
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更年期障害の鍼灸治療

2026 7/12
自律神経、甲状腺の治療
2026年7月12日

同じ更年期なのに、つらくてたまらない人と、気にならずに過ごせる人がいます。この差は、どこから来るのでしょうか。

東洋医学では、この差を「体質と、それまでの疲れの蓄積の差」と考えます。
つまり、あなたが弱いからでも、気の持ちようでもありません。
そして体質の問題なら、体質に合わせた対処法があります。

私は札幌で東洋医学専門の鍼灸院を開いて18年、更年期の方を数多く診てきました。
この記事では、西洋医学の検査や治療についても触れたうえで、私が普段の治療で使っている更年期障害の見立てと、タイプ別のケアの考え方をお伝えします。

この記事の要点

  • 東洋医学では、更年期障害の個人差を「体質と疲れの蓄積の差」と見立て、とくに「腎」と「肝」の2つの臓に注目します
  • 目立つ症状によって「上に熱がこもるタイプ」「肝の巡りが滞るタイプ」「腎が弱るタイプ」に分かれ、治療もセルフケアも変わります
  • 婦人科の検査・治療(HRT・漢方薬)と鍼灸は並行して受けられます
  • 当院(札幌駅徒歩2分)では、脈とお腹から体質を見立て、約15分の施術で整えます
目次

まずは西洋医学から見た更年期障害

更年期障害とは、閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減ることで、ほてり・イライラ・不眠など、さまざまな不調が現れている状態です。

女性は閉経に向けて卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が減っていきます。エストロゲンは生理周期だけでなく、自律神経や骨代謝、皮膚の潤いにも広く関わるホルモンです。急激に減ると自律神経が乱れ、ホットフラッシュ(のぼせや突然の発汗)、イライラ、うつ傾向、肩こり、めまい、睡眠障害などが出やすくなります。

標準治療としては、次のような選択肢があります。

  • HRT(ホルモン補充療法):不足したエストロゲンを補う治療法です。ホットフラッシュなどの急性症状を早めに落ち着かせられる可能性があります
  • 向精神薬・抗不安薬:強い不安感や睡眠障害を緩和します
  • ビタミン剤や漢方薬:軽めの症状に対して、負担を抑えながら体調を整えます

ホルモン剤には副作用の心配があるため、医師と相談しながら進めることが大切です。これらの治療と鍼灸は並行して受けられます。どちらかを選ばなければいけないものではありません。

東洋医学から見た更年期障害——「7の倍数」と腎・肝

女性の体は7年ごとに節目を迎える

2000年前の中国の医書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「女性は7の倍数の年齢で節目を迎える」と書かれています。7×6=42歳頃から子宮の働きが弱まり、7×7=49歳頃には生殖機能が終わりに近づく——これが東洋医学でいう更年期です。

日本の閉経平均年齢も50歳前後ですから、この時期に体が変化すること自体は、ごく自然な流れです。ただし、その切り替えがスムーズに進むかどうかは、体質とそれまでの疲れの蓄積で大きく変わります。ここに、症状の個人差が生まれます。

更年期の不調、臨床でよく見る3つのタイプ

ほてりや汗、イライラ、不眠、むくみ、動悸——更年期障害の症状は実に多彩で、当院に来られる方を診ていても「10人いれば10通り」です。西洋医学では、これらは「エストロゲンの減少」というひとつの原因にまとめられます。では、同じ原因なのに、なぜ人によって出る症状がこれほど違うのか。東洋医学には、この個人差を読み解くための見立てがあります。

ここからは、当院に来られる方によく見られる3つのパターンをお話しします。ご自分に近いものがあるか、照らし合わせてみてください。

タイプ1:ほてりと汗が止まらない——上に熱がこもる(上熱下寒)

50代前半くらいの方で、「突然顔がほてって汗が噴き出し、そのあと冷えて体がだるくなる。夜も寝つきが悪く、日中は頭がぼんやりする」という方がよくいらっしゃいます。

東洋医学では、上半身に熱が集中した状態と見ます。汗が過剰に出るのは、皮膚や体温調節を受け持つ「肺」の乱れ。そして汗が引いたあとの冷えは、熱が上にばかりこもって、下半身まで巡っていないサインです。上は熱いのに下は冷たい、この状態を東洋医学では「上熱下寒(じょうねつげかん)」と呼びます。

私の治療では、胸まわりや首、肩甲骨まわりのこわばりをゆるめて血流を良くしつつ、下半身を温めるツボにも鍼をして、熱が上にばかり溜まらないよう調整していきます。

タイプ2:イライラと落ち込み——「肝」の巡りの滞り

40代後半くらいの方で、「職場でも家でもイライラが続き、些細なことで怒りが爆発してしまう。夜は逆に気分が沈んで眠れず、朝はだるくて家事も面倒」という方も、よくいらっしゃいます。

これは、感情の波を調節する「肝」の働きが更年期でうまくいかなくなっている状態です。もともと忙しい環境にいる方ほど、この調節機能に頼ってきた分、乱れたときの振れ幅が大きくなります。血の不足やうっ滞が重なると、頭痛や肩こりも誘発されます。

実際、このタイプの方には、こめかみや側頭部の頭痛、息苦しさ、顔や上半身のほてり、夜中に何度も目が覚める——といった自律神経の症状が重なっていることがよくあります。治療では、肝と関係の深いツボで巡りを良くしながら、胃腸(脾)も同時に整えて、血を増やす土台をつくります。

タイプ3:むくみ・便秘・下半身のだるさ——「腎」の弱り

60歳手前くらいの方で、「足首やふくらはぎがむくみやすく、お腹も張って便秘がち。階段を上るのが億劫で息切れする」という方がいらっしゃいます。

これは「腎」が弱り、全身の水分を動かす「三焦(さんしょう)」の機能が落ちている状態です。水は、流れが止まるとよどみます。花瓶の水を替えないと悪くなるのと同じで、体の水も、巡らせる力が落ちるとむくみとして溜まってしまうのです。便秘は、胃腸(脾・胃)の働きが落ちているサインでもあります。

治療では、足首やふくらはぎまわりのツボで血流と水分代謝を促し、お腹の「中脘(ちゅうかん)」「関元(かんげん)」といったツボで胃腸の働きを助けます。更年期を過ぎたのに不調が長引いている方は、このタイプが少なくありません。

カギを握る2つの臓——「腎」と「肝」

東洋医学では、体を「五臓六腑」と「気・血・水」(体を動かすエネルギー・血液・水分)のバランスで見立てます。更年期でとくに注目するのが、「腎(じん)」と「肝(かん)」です。

  • 腎とは、元気の源である「先天の精」(生まれ持った生命力)を蓄える場所です。加齢でこの精が減ると、冷え、むくみ、骨の弱り、気力の低下が起こりやすくなります
  • 肝とは、血を蓄え、情緒や気分の調節を受け持つ場所です。肝の巡りが滞ると、イライラ、抑うつ、こめかみの頭痛、肩こりが出やすくなります

この腎と肝の働きが衰えたり乱れたりすると、自律神経のバランスが崩れ、更年期特有のさまざまな不調が表面化する——というのが東洋医学の見立てです。

更年期障害への鍼灸治療——当院の考え方

3つのタイプをお話ししましたが、実際の見立ては、脈とお腹に触れて決めます。「更年期」とひとくくりにせず、その方の体で何が起きているかを確かめてから、鍼をするツボを選びます。

私が師匠から受け継いだ治療の考え方に、「慢性の不調は、元気なところから間接的に助ける」というものがあります。弱っている腎や肝をどれだけ直接刺激しても、機能そのものが弱っていれば効果は一時的です。それよりも、元気の残っているところから間接的に支えるほうが、結果として体は立て直しやすい。更年期のように、体全体の切り替えがうまくいっていない時期こそ、この考え方が活きます。

鍼は髪の毛ほどの細さで、施術は1回約15分。だるさの強い時期に長時間の施術はかえって負担になるので、必要なところだけを短時間で整えます。

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更年期のタイプ別セルフケア——自分の体質に合わせて

治療を受けるほどではないと思うけど、少しずつ更年期になってるかもしれない。自分でできることはないのか、気になりますよね。
先ほどの3タイプ別に体質に合わせたセルフケアをお伝えします。

ほてり・汗タイプ——熱を下に降ろす

  • 散歩などで下半身を動かし、上下の熱のバランスをとる
  • 足元を温める。足湯が特に効果的です。頭がのぼせる人ほど、足は冷えていることがあります
  • 冷たい飲み物のとりすぎを控え、内臓を冷やさない

イライラ・不眠タイプ——「肝」を休ませる

  • 睡眠と休養を多めにとり、肝を回復させる
  • カフェインや糖分をとりすぎない
  • 過度な飲酒、薬が多いなどは肝に負担をかけやすいため、できる範囲で控える
  • 夜のスマホ・パソコンの時間を減らす。東洋医学では「目は肝とつながる」と考え、目の使いすぎは肝を消耗させると見立てます

むくみ・だるさタイプ——「腎」の精を守る

  • 豆類、にんにく、豚肉など、スタミナのつく食事を意識する
  • 立ちっぱなしなどの過労は、腎に蓄えた「精」を浪費します。意識して休息をとる
  • 糖分や冷たい飲み物のとりすぎに注意し、むくみと血行不良を防ぐ

更年期障害のよくある質問

Q1.更年期障害に鍼灸は効果がありますか?

症状と体質によります、と正直にお答えしています。東洋医学では、更年期障害を「腎」と「肝」を中心とした体全体のバランスの乱れと見立て、その方のタイプに合わせて治療します。

効果の感じ方には個人差がありますが、検査で大きな異常がないのにつらさが続く場合は、鍼灸が力になれることの多い領域です。

Q2.ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬と鍼灸は併用できますか?

はい、並行して受けられます。お薬をやめる必要はありません。急な症状には医療の力を借りながら、体質の面は鍼灸で支えるという組み合わせ方ができます。

なお、お薬の中止や変更はご自身で判断せず、処方された医師にご相談ください。

Q3.更年期障害はいつまで続きますか?

個人差が大きく、一概にはお答えできません。東洋医学では7×7=49歳前後を体の大きな節目と見ますが、切り替えがスムーズに進むかどうかは、体質とそれまでの疲れの蓄積で変わります。

更年期を過ぎても不調が長引いている場合は、体質がまだ整いきっていないサインと見立て、体全体のバランスから立て直していきます。

Q4.30代ですが、更年期のような症状があります。相談できますか?

はい、ご相談いただけます。若い世代でも、ストレスや生活リズムの乱れから似た不調が出ることがあります。

一度も検査を受けていない場合は、別の病気が隠れていないかを確認するため、婦人科の受診もあわせておすすめします。

まとめ——更年期は「我慢する時期」ではありません

  • 更年期の症状の個人差は、体質とそれまでの疲れの蓄積の差。東洋医学では「腎」と「肝」を中心に見立てます
  • ほてり・イライラ・むくみなど、目立つ症状によって体で起きていることは違い、治療もセルフケアも変わります
  • 婦人科の検査・治療(HRTや漢方薬)と鍼灸は並行できます。急な症状には医療の力を借りつつ、体質の面は東洋医学で支える組み合わせが可能です

実際の臨床でも、ホルモン剤と鍼灸を併用している方はいらっしゃいます。自分がいまどの段階にあるかを知り、無理なくできるケアを続けることが、この時期を乗り切るいちばんの近道です。

つらさが長引いている方、若い世代で似た不調にお悩みの方は、ご自分がどのタイプなのか、一度見立ててみませんか。

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自律神経、甲状腺の治療
めまい イライラ 原因不明 女性に多い 更年期 自律神経

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