動悸・息苦しさ|検査で異常がなくても、体には理由があります
心電図も、レントゲンも、血液検査も異常なし。
「心臓は大丈夫ですよ」と言われて、ほっとしたのは一瞬。
では——この胸のドキドキと、吸っても吸っても浅い呼吸は、いったい何なのでしょうか。
実は、その答えは胸ではなく「みぞおち」と「背中」にあることが少なくありません。体には、触れれば分かる理由がちゃんとあります。そして理由が分かれば、整える道筋も立てられます。
このページでは、東洋医学専門の鍼灸院である当院が、検査では見つからない動悸・息苦しさの理由と、その整え方をご説明します。

心臓の検査で「異常なし」。それは前進です
検査で異常が見つからなかったということは、心臓という臓器そのものは壊れていない、ということです。これは大きな前進です。
※まだ一度も心臓の検査を受けていない方は、先に循環器科での確認をおすすめします。そのうえで「異常なし」だった方に、ここから先の話がお役に立ちます。
では、臓器に異常がないのに、なぜ苦しいのでしょうか。
当院で動悸のご相談が一気に増えた時期が、これまでに二度あります。一度目は、北海道全域が停電した「ブラックアウト」の後。二度目は、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出た後——それまで年に3〜4件だったご相談が、月に3〜4件になりました。
つまり動悸は、心臓の病気だけでなく「予想外の心配事」でも起こるのです。心配性の方、特に女性に多い印象があります。あなたの症状は、決して気のせいではありません。
始まりは、胸ではなく「みぞおち」
検査で異常のない動悸の方の体に触れると、共通する所見があります。みぞおちの張りです。
ストレスや心配事が続くと、まずみぞおちが張ってきます。張りが進むと上へ上がり、胸骨のあたりが固まって、胸の中央にある膻中(だんちゅう)というツボに反応が出ます。このあたりまで来ると、動悸として自覚されることが多いのです。
そして、このみぞおちの張りには2つの入口があります。肝(かん)のイライラで張るのか、胃の不調で張るのかです(東洋医学でいう肝は、臓器としての肝臓だけでなく、イライラなどの感情や眠りを司る働きを指します)。
あなたはどちら? 2つのタイプ
肝タイプ——イライラから張る
- イライラしやすくなった
- 気分の上がり下がりが激しい(イライラしたかと思えば、落ち込む)
- 眠りが浅い、夜中に目が覚める——不眠は重要なサインです
東洋医学では「眠りは肝が支配する」と考えます。実際、治療で肝の張りが取れると、よく眠れるようになる方が多いのです。
胃腸タイプ——胃の不調から張る
- 食欲が落ちた、胃もたれや胸やけがする
- 甘いものがやたら欲しくなる
- 症状が長くなってくると、何を食べても美味しくなくなる
どちらか片方の方も、両方が混ざっている方もいます。当院では、みぞおちと肋骨の下のふちに触れて、どちらの入口から来ているのかを確かめます(肝の反応は右側、胃の反応は左側に出ます)。
なぜ「心臓の音」が気になるのか
ここから少し、体の仕組みの話が続きます。おつらい方は読み飛ばして、「当院の治療」まで進んでいただいて大丈夫です。
背中が固まると、心臓の音が「響く」
胃の不調が長引くと、背中側——肩甲骨の間のあたりが、もっこりと固まってきます。この状態が慢性化すると、呼吸が浅くなります。
そして、胸や背中の左側が硬くなると、心臓の音が体の中で反射しやすくなります。コンクリートの壁にボールをぶつけると強く跳ね返るのと同じで、硬いところは音を響かせるのです。
「心臓の音が気になって仕方がない」——その一因は、心臓そのものではなく、音を響かせている周りの硬さにある。これが、東洋医学の現場から見た動悸の見立てです。
息苦しさは「吐く」から悪くなる
息苦しさにも、意外な事実があります。呼吸は「吸う」より「吐く」が大事で、息苦しさは吐くほうが先に悪くなるのです。
歌ったり喋ったりするとき、息はずっと吐いています。息継ぎ(吸う)は一瞬、シュッと済む。きっちり吐ければ、吸うのは簡単なのです。
ところが、肩・背中・肩甲骨が緊張で固まると呼吸が浅くなり、吐ききれなくなります。吐く息は、体の中の汚れたものを外に出す働きも担っているため、吐き気や、こめかみの頭痛(偏頭痛)が一緒に出てくる方も少なくありません。
「気づくとため息をついている」「深呼吸したくなる」——それは、体が吐こうとしているサインです。

気にするほど気になる——それは、あなたのせいではありません
自律神経は、本来「自動」で働くものです。健やかなときは、心臓も胃腸も無意識に働いていて、何も感じません。
それが「気になる」というのは、本当にしんどい状態です。気になるから意識する、意識するから余計に気になる。この悪循環は、性格の弱さではなく、自動で動くはずのものに意識が向いてしまう仕組みの問題です。
とりわけ動悸は、「心臓につながっている」と感じるぶん、症状の中でも最後まで気になりやすいものです。少し良くなっても、わずかに残った症状が気になって、また悪循環に戻ってしまう方もよくいらっしゃいます。
だからこそ、「気にしないようにしましょう」という言葉だけでは解決しません。当院が目指すのは、意志の力で忘れることではなく、体の側から——みぞおちと背中をゆるめ、呼吸を深くすることで——「気にならない時間」が自然に増えていく状態です。

ここまで読んで「自分のことかもしれない」と思った方へ
症状をうまく説明できなくても大丈夫です。LINEで「動悸の相談」とだけ送ってください(24時間受付・質問だけでもかまいません)。
当院の治療——みぞおちと背中をゆるめ、呼吸を深くする
まず、触れて確かめます
初回は、みぞおち・肋骨の下のふち・おなか全体の柔らかさを確かめ、あお向けに寝たときの胸郭(きょうかく・肋骨のかご)の角度を覚えておきます。この角度が、治療前後の変化を見る物差しになります。
なお、胸の中央(膻中)の確認を行うのは男性のみです。女性の胸まわりに触れることはありませんので、ご安心ください。
体質に合わせて、遠くから助ける
鍼は、髪の毛ほどの細さのものを使います。刺激はごくわずかで、痛いところに、さらに痛い刺激はしません。
肝タイプか胃腸タイプかを見極めたら、弱っているところを直接刺激するのではなく、主に手足のツボから間接的に助けます(東洋医学で本治法・ほんちほうと呼ぶ、体質から整える治療です)。弱っている機能を直接刺激しても、一時的にしか効かないからです。
同じ動悸でも、体質や季節によって使うツボは変わります。季節と治療の関係は、それだけで1ページ必要になるほど奥深いテーマです。
一鍼ごとに、みぞおちや背中の張りがどれだけ変わったかを手で確かめながら進めます。
治療がうまくいくと、こうなります
うつぶせで背中・肩甲骨・首がゆるむと、呼吸が深くなります。うまくいったときのサインは、はっきりしています。
- ご本人も気づかないうちに、「ふーっ」と深いため息が出る
- おなかが柔らかくなる
- 胸郭の角度が広がる(呼吸が深くなった証拠)
- おなかがグーッと鳴る(副交感神経——体を休めるブレーキ側の神経——が働いた証拠)
こうした変化を積み重ねて、動悸を「忘れている時間」を少しずつ増やしていきます。
良くなる順番には、特徴があります
正直にお伝えすると、息苦しさと動悸では、良くなり方に差が出ます。息苦しさやため息は比較的早く楽になる方が多い一方、動悸は「心臓につながっている」と感じるぶん、最後まで気になりやすい症状です。
ですから、動悸が最後に残っても、治療が効いていないわけではありません。それは順番として自然なことです。焦らず、呼吸・食欲・眠りといった体の変化を一緒に確かめながら進めましょう。
なお、イライラや不眠を伴う肝タイプの方は症状の数が多いぶん、数回の治療でどれかが先に良くなってくることが多く、そこから全体が進みやすい傾向があります。
よくあるご質問
Q. 抗不安薬を飲んでいます。鍼と併用できますか?
A. 併用できます。院長はいつも「最初は飲みながら治療をしましょう。薬をやめるのを目標にしましょう」とお答えしています。自己判断で中止せず、処方されている医師にご相談のうえ進めてください。パニック障害などで心療内科に通院中の方も、その治療と並行して、体の緊張をゆるめる形でお手伝いできます。
Q. どのくらいのペースで通えばいいですか?
A. 目安は、週1〜2回の通院をまず1ヶ月です。体の硬さが固定化しているほど時間はかかりますが、初回に体に触れれば、短くて済みそうか、時間がかかりそうかの見通しまではお伝えできます。
Q. 鍼は痛くないですか?
A. 髪の毛ほどの細さの鍼で、刺激はごくわずかです。刺激に敏感になっている自律神経の不調の方にこそ、そっと効かせる治療を心がけています。
料金・アクセス
料金(税込・初診料なし)
- 自費: 1回 3,000円
- 保険証あり: 1回 2,200円
- 医師の同意書あり: 1回 1,500円
施術は約15分。初回はカウンセリングを含めて40分ほどみてください。
徳田漢方はり院(札幌駅から徒歩2分)
- 住所: 〒060-0807 札幌市北区北7条西2丁目6番地 37山京ビル723号室
- 受付: 午前10:00〜13:00/午後15:00〜19:00(土曜は17時まで・最終受付18:30)
- 休診日: 水曜・日曜・祝日
- 当日のご予約も可能です(予約なしでの直接のご来院は難しいため、事前にご連絡ください)
質問だけでもお気軽にどうぞ
ご予約・ご相談
今日、予約まで決めなくて大丈夫です。
「これって相談していいのかな」という段階で、LINEに「動悸の相談」と一言送ってください。24時間受け付けています。
