揉んでもすぐ戻る。上を向くと痛い。肩だけでなく頭痛や不眠もある――。ひとくちに肩こりといっても、体の中で起きていることはさまざまです。
「何年も揉み続けている」と聞くと手ごわそうですが、ご安心ください。疲れの延長でこっている多くの方は、鍼灸で変化を感じていただけることが多いです。大切なのは、こりを”ほぐす”ことより、こりを生んでいる大元を見つけることです。まずは、あなたの肩こりがどのタイプか見てみましょう。

あなたの肩こりは、どのタイプ?
肩こりは、大きく次の3つに分かれます(重なることもあります)。
- ①急に痛めたタイプ(寝違え) … 急に動かせなくなった、特定の方向――とくに上――が向きにくい。これは「ぎっくり腰」と同じしくみで起こります。比較的早く楽になることが多いタイプです。
- ②疲れが積もったタイプ(いちばん多い) … 何年も続く。デスクワークや車通勤で、歩く習慣が少ない。目・首・手・上半身ばかり使っている。揉んでも戻る肩こりの多くはこれです。
- ③自律神経を巻き込むタイプ … 肩こりに加えて、頭痛・不眠・息苦しさ・顔ののぼせなどがある。肩の緊張が呼吸の浅さや自律神経の乱れとつながっているタイプです。
「自分は②と③かも」と感じた方ほど、肩だけを揉むアプローチでは届きにくい、と考えています。
揉んでも、なぜまた戻るのか
もんでもらった直後は、たしかに軽くなる。でも夕方にはまた重くなり、何年も同じことを繰り返している――。当院にも、そんな肩こりでお悩みの方がたくさん来られます。
その場で軽くなるのは、こり固まったところの流れが一時的に良くなるからです。でも、こりを生んでいる大元がそのままだと、流れはすぐにまた滞ってしまいます。強く揉むほど気持ちよく感じるのは、体が刺激に慣れて鈍くなっているだけのこともあります。弱っている肩の筋を強くいじると、かえって疲れさせてしまうこともあるのです。
その場の心地よさで良くなる方は、マッサージでも十分かもしれません。もし「何をしても戻ってしまう」なら、肩そのものではなく、少し体全体に目を向けてみる番です。
肩こりの奥で起きていること
東洋医学では、体の疲れはまず三焦(さんしょう=全身の水分を巡らせるはたらき)から入っていくと考えます。デスクワークで上半身や目ばかり使い、歩かない生活が続くと、巡りが落ちて津液(しんえき=体の水分)が固まり、それが細い肩の筋に来ると、動きが重く鈍くなります。これが、こりの正体のひとつです。
やっかいなのは、ここから悪循環が生まれることです。
肩が張る → 肩甲骨が動かず呼吸が浅くなる → 体がリラックスできない → また肩がこる
これが何年も続くと、体は常に気を張った状態(交感神経が優位)になりやすく、肩こりから頭痛・不眠・息苦しさへ広がっていきます。③のタイプですね。
そしてもうひとつ、東洋医学ならではの見方があります。肩こりが「仮の症状」であることがある、という点です。本当の原因が頭痛や腰のほうにあって、肩はその影響を受けて張っているだけ――ということが、実際に少なくありません。だから、肩だけを診ていても終わらないのです。
[専門的な話・読み飛ばしてOK]
当院では、脈・お腹・前腕の状態と、実際にこっている場所が「一致するか」を確かめます。一致しなければ、肩は仮の症状で、本当に治すべき場所は別にあると判断します。ここを見分けるのが、いちばん難しく、いちばん大事なところだと考えています。
どのタイプか迷ったら、まずLINEで。
「肩こりを相談したい」と一言送っていただければ大丈夫です。
当院はどう診て、どう施術するか
はじめに、脈・お腹・前腕から体全体のバランスを診て、肩こりが仮の症状かどうか、大元がどこにあるかを見分けます。そのうえで、こりを生んでいる大元――疲れ・巡り・呼吸――を立て直していきます。
肩そのものを、ぐいぐいほぐしにはいきません。 弱っているところを強く刺激すると、かえって疲れさせてしまうからです。元気なところから間接的に助けることで、体全体の巡りを取り戻していきます。使うのは髪の毛ほどの細さの鍼で、刺激はごくわずかです。
[なぜ肩以外にも鍼を打つの?・読み飛ばしてOK]
東洋医学には「本治法(ほんちほう)」という、体全体のバランスを整える治療があります。手足などにある特定のツボ(五行穴)を使うと、一か所への鍼が全身の巡りに働きかけられる、と古典は説きます。背骨に沿って流れる督脈(とくみゃく)もあわせて整えます。「なぜ肩じゃないところに?」と思われますが、大元から立て直すための鍼です。
どのくらいで良くなる?
①寝違えタイプは、比較的早く、数回(目安として5回以内)で落ち着くことが多いです。
②疲れが積もったタイプは、まず週1〜2回の通院を1ヶ月から始めます。イメージは「側溝の落ち葉掃除」です。落ち葉は毎日少しずつ積もるので、溜まりきる前にこまめに掃除したほうがいい。最初だけ間隔を詰めていただくのは、そのためです。
施術のあと、その場では劇的に軽くならないこともあります。でも、肌に艶が出て、お腹がふっくらゆるみ、脈が整っていれば、体はちゃんと変わり始めています。暖房のスイッチを入れても部屋が暖まるまで少しかかるのと同じで、「明日の朝、楽になっていれば成功」とお伝えしています。
どのくらいかかるかは、その方の体力によって変わります。ここははっきりお約束できませんが、一度診させていただければ、おおよその見当はつきます。
家でできること ― まず「歩く」
肩こりに、いちばんお伝えしたいのは「歩く」ことです。
意外に思われるかもしれませんが、歩くのは”何も意識せずにできる”数少ない運動です。1メートル先の画面をじっと見て固まっているとき、少し歩くだけで足(下半身)が動き、張りつめた上半身から自然と力が抜けます。会社でも「ちょっとトイレへ」を増やすだけで違います。1駅分多く歩く=15分で十分です。
よくあるご質問
マッサージや整体とどう違いますか?
その場の心地よさで軽くなる肩こりなら、それも良い選択だと思います。当院が向いているのは、「揉んでも戻る」「肩だけの問題ではなさそう」という方です。こりをほぐすのではなく、こりを生む大元から立て直します。
鍼は痛くないですか?
髪の毛ほどの細さの鍼を使い、刺激を抑えています。「打たれているのが分からなかった」という声もいただきます(個人の感想です)。
健康保険は使えますか?
医師の同意書があれば鍼灸保険が使える場合があります。手続きはこちらでサポートしますので、ご相談ください。
病院の治療と併用できますか?
はい。多くの方が医療機関の治療と並行して通われています。
迷ったら、まずLINE相談から。
「初めてで不安」「これって鍼で診てもらえる?」――その段階のご相談で大丈夫です。
札幌駅から徒歩2分。ご予約なしのご来院は難しいため、事前にご連絡ください。
