決まった時間に出る不調は、体からのサインです(東洋医学のタイムテーブル)
午後3時を過ぎると、どうしても頭が働かない。
夜中の1時に、決まって目が覚めてしまう。
朝は食欲がわかず、何も入らない。
こうした「いつも同じ時間に出る不調」に、心当たりはありませんか。
この記事の要点
- 東洋医学には、2時間ごとに担当の臓腑が入れ替わる「体のタイムテーブル」がある
- 不調が出る時間帯から、弱っている臓腑を読み取ることができる
- 夜中の1〜3時に目が覚めるのは肝、明け方の3〜5時は肺(呼吸)、朝の食欲不振は胃腸、午後3時からの強い眠気は腎のサイン
- 午後3時〜7時の調子が良くなってきたら、根本から回復してきたサインかもしれない
東洋医学には、2時間ごとに働きが旺盛になる臓腑が変わっていくという考え方があります。
「体のタイムテーブル」のようなものです。
あなたの不調が出る時間がわかれば、体のどこが弱っているかを教えてくれるのです。不思議ですね。
しかも、弱っている場所がわかるだけでなく、「その時間帯が楽になってきた」ことが、根本から回復してきたサインになるのです。詳しくは後ほどお話しします。
読み方のご案内: 全部を読む必要はありません。下の一覧表で、ご自分の調子が崩れる時間帯を見つけて、その項目だけ拾い読みしていただければ良いと思います。
東洋医学の「体の時間割」(子午流注)とは
東洋医学の五臓六腑論では、働きが強くなる時間帯があるとされています。その2時間は、1つの臓腑が担当していると考えてください。
| 時間帯 | 担当する臓腑 |
|---|---|
| 3時〜5時 | 肺 |
| 5時〜7時 | 大腸 |
| 7時〜9時 | 胃 |
| 9時〜11時 | 脾(ひ/消化吸収を担う) |
| 11時〜13時 | 心 |
| 13時〜15時 | 小腸 |
| 15時〜17時 | 膀胱 |
| 17時〜19時 | 腎 |
| 19時〜21時 | 心包(しんぽう) |
| 21時〜23時 | 三焦(さんしょう) |
| 23時〜1時 | 胆 |
| 1時〜3時 | 肝 |

一番大事なこと:症状が出た時間帯の臓腑が、弱っている
このタイムテーブルは、体がうまく回っているときの「正しい姿」を示したものです。ということは——その通りにいかないとき、体は症状という形でそれを教えてくれることになります。
たとえば、こう読みます。
- 肺の時間(3時〜5時)に眠れない → 呼吸が浅くなっている
- 朝の消化の時間(7時〜11時)に食欲が出ない → 消化吸収の力が落ちている
体調の崩れる時間が、弱っている臓腑を指し示してくれます。
ここからは時間帯ごとに、どんなサインなのか、そして簡単な対処をお伝えします。
明け方(3時〜7時)——早朝の3時、4時に目が覚める
3時〜5時は肺の時間です。肺は呼吸と「気」を調節しています。東洋医学でいう気とは目に見えないもののことで、体の中で目に見えないものは、すべて肺が管理していると考えます。
私たちが眠っている間、体はずっと代謝を進めています。深夜の胆と肝の時間(23時〜3時)には血をきれいにし、明け方の肺の時間には呼吸によって代謝が進む。ひと晩かけて続いてきた体の後始末が、ここで仕上げに入るわけです。
だから、目覚めたあとはまず「出す」ことから始まるのが自然です。5時〜7時が大腸の時間で、朝にお通じが来る方が多いのはこのためかもしれません。
この時間に目が覚める方は
早朝の3時、4時に目が覚めてしまう。——こういう方は呼吸が浅くなっていることが多く、背景にストレス過多、つまり気の使いすぎがあると診ています。精神的な疲れは、この時間帯に眠ることで取れていきます。
余談ですが、東洋医学は呼吸というものをとても重く見ています。人の一生の終わりに際して「今夜が山だ」と言われるのも、明け方に息を引き取る方が多いことも、呼吸が体にとってどれほど大切かを物語っている——古人はそう考えてきました。それくらい、呼吸は体の根本に関わるものだということです。
簡単な対処
- この時間に目が覚めるのは「気を使いすぎている」というサインです。意識して休息をとってください
- 呼吸は、吸うことより吐くことが大切です。しっかり吐き切れれば、吸うほうは自然にできます
- 朝起きたら、まず排泄の時間をきちんととる、体に悪いものを残さないのは健康の基本です。
朝(7時〜11時)——朝に食欲がわかない・朝がつらい
出したあとに、入れる。7時〜9時が胃の時間、9時〜11時が脾の時間です。脾は東洋医学で消化吸収を担う臓で、胃と合わせて「食べたものを体の役に立つ形に変える」働きをします。
細かく分ける必要はありません。朝7時から11時までが、まるごと消化吸収の時間です。食べ物は、食べただけではまだ体の役に立つかどうかわかりません。よく吸収されて、はじめて役に立ちます。東洋医学の側から見ても、朝食は食べたほうがいい、ということになります。
この時間に調子が崩れる方は
朝、食欲がわかない。朝食を食べると胃がもたれる。朝がとにかくつらい。——これは消化吸収の力が落ちているサインと考えます。逆に言えば、朝の調子が良くなってきたら、胃腸は回復に向かっているということです。
簡単な対処
- 冷たい飲み物から一日を始めない。胃は温かいほうがよく働きます
昼(11時〜15時)——真昼に元気が出ない
11時〜13時は心、13時〜15時は小腸の時間です。心は五臓六腑のリーダーにあたる臓で、小腸は栄養の吸収を担当します。お昼ごはんを13時までに済ませると消化吸収の面では都合が良い、ということになります。
真昼は、本来なら一日で一番元気な時間帯です。太陽が高く昇り、体も一日の中で最も陽(活動する側)に傾いている。その時間に元気が出ないとしたら、それは昼と夜が入れ替わってしまっている——東洋医学の言葉でいえば、陰と陽が逆になっている状態です。
昼夜逆転というと、夜更かしの習慣を思い浮かべる方が多いと思いますが、生活が乱れていなくてもこの状態になることがあります。そしてその背景にあるのは、全体の体力がかなり落ちているということです。
簡単な対処
- この時間帯に元気が出ない方は、まず十分な休息をとることを優先してください。生活を正すより先に、体力を回復させる段階です
午後(15時〜19時)——午後3時からの強い眠気・疲れ
15時〜17時が膀胱、17時〜19時が腎の時間で、この4時間はまとめて「水・先天(せんてん)・精力」を扱う時間帯とされています。
東洋医学では、生まれ持った体力のことを精(せい)と呼びます。イメージとしては、脾(胃腸)が日々のエネルギーを「現金」として作り出し、使って余った分を腎が「貯金」として蓄えている。足りなくなると、貯金から引き出して使う。そういう関係です。
この時間に調子が崩れる方は
午後3時を過ぎるとどうにも疲れる、粘りがきかない、ドカンと強い眠気が来る。——こういう方は、日々の現金だけでなく、腎の貯金にまで手をつけている可能性があります。「3時のおやつ」の時間に甘いものが欲しくてたまらなくなる方も、この時間帯のサインとして診ています。
逆に、この時間帯の調子が良くなってきた方は、生まれ持った体力そのものが戻ってきている可能性があります。つまり、根本から治ってきた証拠かもしれない、ということです。
症状が減るのは誰にでもわかりやすい変化ですが、「午後の粘りが戻ってきた」という変化は、ご自分では見過ごしがちです。治療を続けている方には、ぜひこの時間帯の感覚を覚えておいていただきたいと思っています。
簡単な対処
- 精を養う食べ物として、豚肉をおすすめしています。体力の貯金を養うのに最適です。
夜(19時〜23時)——夕方からのむくみ・急な寝落ち
19時〜21時は心包、21時〜23時は三焦の時間です。どちらも東洋医学にしかない臓腑なので、ここでは三焦だけお話しします。
三焦とは、体力の一部・体温の調節・水分の輸送を担う、東洋医学だけにある臓腑です。全身に水を回すポンプのような役割、とイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
この時間に調子が崩れる方は
夜9時を過ぎると調子が悪くなる。あるいは、寝るつもりがないのにストンと寝落ちしてしまう。夕方から夜にかけて足がむくむ。——こうした方は、三焦の働きが落ちていて、体力や水分の調節が苦手になっているかもしれません。
そして三焦が弱るということは、結局のところ体力が足りないということです。むくみを取ろう、水分を減らそう、と考える前に、体力そのものを立て直す必要があります。
簡単な対処
- しっかり食べること。特に栄養のあるもの(肉・魚などのタンパク質)を意識して、体力をつけることを優先してください
深夜(23時〜3時)——夜中の1時、2時に目が覚める
23時〜1時が胆、1時〜3時が肝の時間です。
東洋医学では、胆は血液を掃除すると考えます。そして肝は、血液を調節します。考えごとをしているときは脳へ、食事のときは胃へ——必要なところへ血を配るのが肝の役目です。
この時間に眠っていると、血液がきれいになり、血液を配る機能そのものも休むことができます。
この時間に目が覚める方は
夜中の1時、2時に決まって目が覚めてしまう。——不眠の中でも、この時間帯の目覚めは肝の緊張と関わりが深いと診ています。
気をつけていただきたいことが一つあります。この時間帯は血もよく動くので、仕事がはかどってしまうのです。「夜中のほうが集中できる」という方は少なくありません。
けれど本来は休息の時間ですから、それは健康を削って仕事をしていることになります。特に、すでに体力を失っている方が「ここだけは調子がいいから」と起きて頑張ってしまうと、回復のための時間帯を失って、さらに余力がなくなる。悪循環に入ってしまいます。
簡単な対処
- この時間に眠れない方へ。眠れなくても、横になって目を閉じているだけで大丈夫です。肝を休ませるという意味では、それで「寝たこと」になります。眠らなければと焦るほうが、かえって体にはこたえます
こうして一日は、眠りの中で血を養って終わります。そしてまた、夜明け前の呼吸から次の一日が始まります。

まとめ——「崩れる時間」を覚えておいてください
もう一度、要点をまとめます。
- 東洋医学には2時間ごとの「体の時間割」がある
- 大事なのは時間割を守ることではなく、崩れている時間帯が、弱っている臓腑を教えてくれること
- 午後3時〜7時の調子が良くなってきたら、根本から回復してきているサインかもしれない
もし今、決まった時間に出る不調をお持ちでしたら、その時間をメモしておいてください。「夕方がいつもつらい」「夜中の1時に必ず目が覚める」——それだけで、診察のときの大きな手がかりになります。
よくある質問
Q. 夜中のいつも同じ時間に目が覚めるのは、意味がありますか?
A. 東洋医学では、目が覚める時間帯から体の状態の見当をつけます。夜中の1〜3時は肝の時間で、この時間の目覚めは何らかの緊張と関わりが深いと診ています。明け方の3〜5時は肺の時間で、呼吸が浅くなっている方、気を使いすぎている方に多い目覚め方です。
Q. 午後3時ごろの強い眠気は、病気でしょうか?
A. 眠気だけで病気と決めることはできませんが、東洋医学では、午後3時〜7時は体力の「貯金」(腎の精)に関わる時間帯と考えます。この時間にドカンと眠くなる、粘りがきかないという状態が続く方は、体力の貯金が減っているサインとして診ています。長く続く場合は一度ご相談ください。
Q. タイムテーブルどおりに生活しないと、健康になれませんか?
A. いいえ。この時間割は「守るべき規則」ではなく、体の状態を読み取るための地図のようなものです。現代の生活で完全に合わせるのは無理がありますし、私も患者さんに時間割どおりの生活を求めることはありません。
Q. 朝食は食べたほうがいいのでしょうか?
A. 東洋医学の側から見ると、朝7時〜11時はまるごと消化吸収の時間なので、朝食は食べたほうがいいということになります。ただし「朝は食欲がわかない」こと自体が消化吸収の力が落ちているサインなので、無理に詰め込むより、まず胃腸を立て直すことが先です。
最後に
検査では異常がないと言われた不調でも、体の側から見ると、原因の見当がつくことがあります。当院では、脈やお腹、前腕の状態を診たうえで、こうした時間帯のお話も合わせて、体のどこから立て直すかを考えていきます。

