病院で検査をしてもどこも悪くない
けど、何か身体の調子がすぐれない

自律神経失調症と診断されたけど、何をどうしたらよいかわからない

このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

このページでは、次の3つのポイントを中心に、なるべく分かりやすくお伝えしたいと思います。

  1. 自律神経って何?
  2. 自律神経失調症の症状
  3. 東洋医学的治療法

最初は現代医学的な話をし、その後、東洋医学的な視点で解説していきます。
記事が長めですので、目次を参考に興味のあるところまでジャンプしてみてください。

自律神経とは何か?

自律神経の基本

自律神経とは、私たちの意志とは関係なく、自動的に働く神経のことです。
現代医学では、交感神経副交感神経に分けられ、これらが必要に応じて切り替わりながら
体内環境を整えています。

たとえば、胃腸の動きや心臓の鼓動、血管の収縮・拡張などは
わたしたちの意思とは関係なく自律神経が自動でコントロールしています。

環境変化への自動調節

自律神経は、暑さ寒さ感情的ストレスなど、外部環境が変化したときに自動的に身体を調整してくれます。

たとえば、暑くなれば汗をかいて体温を下げたり
緊張すると心臓がドキドキしたりするのは、自律神経が環境の変化に対応している証拠です。

もし、この自動調節機能がうまく働かないときは
暑くもないのに汗が止まらない、ちょっとしたことで心臓がバクバクする
こうした症状が続くことがあります
それを自律神経失調症と呼ぶことがあります。

アクセルとブレーキのバランス

自律神経にはアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)があります
私たちの身体はこのバランスによって日常生活を円滑に送っています。

仕事で集中するときは交感神経が優位になり
家でくつろぐときは副交感神経が優位になるという具合に、シーンに応じて切り替わるのが正常な状態です。

これらの調節がうまくいかないとき、自律神経失調症といいます

例えば

  • 夜になっても頭が冴えてしまい、なかなか寝つけない
  • 休日なのに疲労感が抜けず、だるさが続く

などの症状が出ます

自立神経失調症の症状

よくある症状

自律神経失調症とひとくちに言っても、その症状は人によってさまざまです。
主なものを挙げると、以下のようになります。

身体的な症状

 • 慢性的な疲労感、だるさ、めまい、偏頭痛

 • 動悸、ほてり、不眠、便秘、下痢、微熱

 • 手足のしびれ、口やのどの違和感、頻尿、残尿感

精神的な症状

 • イライラしやすい、不安感が強い

 • 落ち込みやすい、やる気が出ない、憂うつになる

 • 感情の起伏が激しくなる

身体症状だけでなく精神面にも影響が及ぶのが、自律神経失調症の特徴です。
周囲から見ると「どこも悪そうには見えない」と思われてしまうため
本人はますます不安になり、症状が悪化することも珍しくありません。

検査しても異常なし

自律神経失調症は、内臓や器官が物理的に壊れているわけではありません
機能や神経の働きが乱れている状態です。

病院で血液検査や画像診断をしても、「特に異常はありませんね」
と言われることが多いのは、物理的な異常は無いからです。

病院での主な治療

現代医学では、頭痛があれば鎮痛薬、不眠があれば睡眠薬など
それぞれの症状に対して薬を処方することがあります。

これは対症療法としては有効ですが、薬の服用をやめると再び症状が出てしまう場合も多いです。
そのため、根本的に体質を改善するアプローチが求められています。

東洋医学での治療:鍼灸で「体そのものを強くする」

ここからは、東洋医学的な視点での治療について書いていきます。
東洋医学は「病気を直接叩く」というより、「病気に負けない身体を作る」という考え方を持っています。

1. バランス調整(陰陽の調和)

上下のバランス:下半身の冷えと上半身ののぼせ

たとえば、下半身が冷えているのに顔が熱っぽい(のぼせ)状態は、東洋医学では“陰陽のアンバランス”ととらえます。

上(頭)が「陽」に偏り、下(足)が「陰」に偏っている状態を治療して、陰陽のバランス調整を行うことで症状の改善が期待できます。

内外のバランス:汗腺の調整

手足ともに冷えている場合は、上下のバランスだけではなく「内外(内臓と皮膚表面)」のバランスを調整する必要があることもあります

皮膚温が高いのに身体の内部(内臓)が冷えているケースがよくあります。
これは自律神経の乱れにより発汗のコントロールがうまくいかず、熱が適切に発散されないことで、体温調節がうまくいかない状態です。

鍼灸治療で**気血水(きけつすい)**の流れを促進して、内外のバランスを整えることで体温調節機能が回復します。
内側から温まりやすい身体づくりを目指します。

2、免疫力や体力をつける:胃腸の調整

胃腸の強化と栄養吸収

自律神経失調症の症状のなかで、身体のだるさめまい食欲不振などは、免疫力や体力の低下が原因のことが多いです。

こうしたケースでは、免疫力や体力を底上げする必要がありますが、胃腸が弱っていると良い栄養を摂っても十分に消化・吸収できません。

鍼灸治療で胃腸を整えると、栄養の吸収効率が高まってきますので
しばらくすると体力の向上が見られ、それにともなって慢性的な疲労が軽減しやすいです。

食事の工夫:タンパク質と旬の野菜

食事内容を見直すことは、東洋医学の治療効果を高める大切な要素です。
具体的には、**タンパク質豊富な食品(肉・魚・卵など)**をバランスよく摂り、旬の野菜を積極的に取り入れることをおすすめします。

季節の食材には、その時期に必要な栄養やエネルギーが多く含まれているため、身体の回復を後押ししてくれます。

3、五臓六腑の調整(より深いアプローチ)

慢性症状への対策

長期間にわたる自律神経失調症や、症状が重い場合は、単なるバランス調整や胃腸のケアだけでは十分に改善しないことがあります。そこで東洋医学では**五臓六腑(ごぞうろっぷ)**の働きを総合的に見直します。

五臓六腑とは?

肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)など、各臓器とそれに関連する機能を指す概念です。それぞれが相互に影響し合いながら身体全体のバランスを保つと考えられています。

4. 呼吸と内臓をリラックスさせる

副交感神経の活性化

自律神経失調症の方、とくに女性には、交感神経(緊張・興奮)が高ぶりすぎているケースが多く見られます。そこで重要なのが、副交感神経を意識的にはたらかせることです。

呼吸が深くなると副交感神経が優位になる

鍼灸治療でゆったりと深い呼吸ができるようになると、身体の緊張が解け、内臓がリラックスしやすくなります
そうなると精神的にも落ち着いてくるので、不安感やイライラ感も緩和します。

鍼灸治療で呼吸を調節する

鍼灸治療では、肋骨や肩甲骨まわりの筋緊張を緩め、横隔膜の可動域を広げることで、自然に呼吸が深まりやすくなります。呼吸が深くなると全身に酸素が行き渡り、内臓機能や自律神経のバランスが整いやすくなります。

リラックスを実感できる

治療によってリラックスしやすい状態ができると、「気づいたら身体が軽くなっていた」「以前より呼吸が楽になっている」といった変化に徐々に気づくようになります。

まとめ

自律神経とは?

交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)から成り、自動的に体内環境を調整する大切なシステム。

主な症状

慢性的な疲労、頭痛、めまい、動悸、ほてり、不眠など身体面の不調と、イライラ、不安、落ち込みなど精神面の症状が混在する。

東洋医学的アプローチ

1. バランス調整(陰陽の調和)

• 下半身の冷えと上半身ののぼせ、内外の温度差など
• 体温調節不良を改善し、気血水の流れをスムーズにする。

2. 免疫力・体力を高めるための栄養管理

• 消化吸収力を回復させる治療が優先。
• タンパク質や旬の野菜を取り入れ、栄養を補給する。

3. 五臓六腑の調整(より深い不調へのアプローチ)

• バランス調整や胃腸ケアだけで改善しにくい場合、五臓六腑を総合的に見直す。

4. 呼吸と内臓をリラックスさせる

• 副交感神経を活性化し、交感神経の過度な興奮を鎮める。
• 鍼灸治療で肋骨や肩甲骨の可動域を広げると、深い呼吸で、全身がリラックスしやすくなる。

自律神経失調症は、検査ではっきりと異常がわからないために、不安や孤独を感じやすい病気です。
しかし、東洋医学の視点から身体全体を整え、免疫力を高めることで、少しずつ症状が和らいでいくケースも少なくありません。

自分の体質や生活習慣を見つめ直し、必要に応じて鍼灸などの専門的ケアを取り入れることで、健康的なバランスを取り戻しましょう。

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