朝7時〜11時は「胃腸の時間」——朝の食欲でわかる胃の弱りと立て直し方

朝、食欲がわかない。
食べても、もたれる。
昼や夜は、普通に食べられるのに。
心当たりはありませんか?
東洋医学の見方では、朝は、胃腸が働く担当の時間です。
「朝」に食欲がないことこそ、胃が弱っているいちばんのサインです。
この記事の要点
- 東洋医学では、朝7時〜11時は「消化吸収の時間」。この時間に食欲がないことが、胃の不調のサインになる
- 胃は温かいほうがよく働く。冷たいものの摂りすぎは、夏バテの一因
- 不調の場所で見当がつく——みぞおちの左は胃、おへその周りは腸のサイン
- 胃を立て直す食事はタンパク質。そして、朝の調子が良くなってきたら、胃腸は回復に向かっているサイン
東洋医学では、朝7時〜11時が「消化吸収の時間」
東洋医学には、2時間ごとに主人公の臓腑が入れ替わっていく、つまり「体には時間割がある」という考え方があります。その時間割では、朝の7時〜11時では胃と脾(ひ/消化吸収を担う臓)が主人公です。

朝に調子が崩れる方は
朝は胃と脾の担当時間——本来なら、一日のうちで一番食欲が出るはずの時間帯です。そこで食欲がわかない、朝食を食べるともたれる、朝がとにかくつらい。——これは消化吸収の力が落ちているサインと考えます。
当院では、胃の調子の悪い患者さんに「朝に調子が良くなってきたら、胃は回復に向かっています」とお伝えしています。症状の増減よりも見過ごされやすいのですが、「朝がつらくなくなってきた」は、胃腸にとって大事な変化です。
その不調は胃から?腸から?——場所で見分ける
朝の食欲でわかるのは、胃腸が弱っている「かどうか」でした。では、弱っているのは胃なのか、腸なのか。それを見分ける手がかりが、不調の場所です。
胃が弱っているときのサイン
- みぞおちの左側の違和感
- その裏側、背中の左側の違和感
胃の弱った状態が長引くと、背中側——肩甲骨の間のあたり——が固まって、呼吸まで浅くなっている方もよく診ます。
腸が弱っているときのサイン
- 便秘のときは、おへその左下の違和感
- 消化不良のときは、おへその周りの違和感
あわせて、胃腸が弱っている方には、食欲の低下や胃もたれ、栄養不足が混じって甘いものがやたら欲しくなる、というサインもよく見られます。症状が長くなってくると、何を食べても美味しくなくなる——「食欲がない」とは、そういうことです。
なお、これはあくまで見当をつけるための目安です。強い痛みや長く続く不調がある場合は、まず病院で検査を受けてください。
胃の立て直しは「冷たいものを控える」ことから——夏バテの一因
胃の弱りに見当がついたら、ここからは立て直しの話です。最初に見直したいのは、食べる中身より先に、飲み物・食べ物の温度です。
胃は温かいほうがよく働きます。体の中の胃はおよそ38度あって、飲んだり食べたりしたものが食道を通って胃にたどり着いたとき、それと同じくらいの温かさになっているのが、一番働きやすい状態です。
そこへ氷入りの飲み物やアイスが届くと、胃は中から冷やされてしまいます。雪の中に手を入れると、冷たくて指がかじかんで動かなくなりますね。胃も同じで、冷えると動きがにぶくなります。
夏バテの一因は「冷たいもの」
夏になると「食欲がわかない」「なんとなくだるい」というご相談が増えます。よくよくお話を伺うと、暑いから冷たい麦茶をがぶがぶ、お昼は冷たいめん類、おやつにアイス——そんな毎日になっている方が少なくありません。
東洋医学では、こうした夏の不調の一因を「冷たいものの摂りすぎで、胃の働きが落ちている」と考えます。夏バテの正体のひとつは、暑さそのものよりも、暑さ対策の冷たいものだった——治療院では、そんなふうにお話しすることがあります。
もちろん、冷たいものを一口も摂ってはいけない、という話ではありません。胃の丈夫さや体力には個人差がありますし、真夏に体の熱を冷ましたい場面もあります。目安は、冷たいものは楽しみ程度に、ふだんの水分は常温か温かいもので。
胃を立て直す食べ物——タンパク質と旬の野菜
温度を見直したら、次は中身です。
タンパク質が胃を回復させる
胃の中では、胃酸という強酸性の液体で食べ物を消化・殺菌しています。胃酸はタンパク質を分解しますが、実は胃自体もタンパク質でできています。粘液で守られてはいるものの、日々の小さな傷は避けられません。その修復の材料になるのが、お肉やお魚などのタンパク質です。
ここで悪循環があります。私が診てきた胃腸の弱い方は、肉の赤身が苦手な方が多いのです。タンパク質が足りない→胃酸や消化酵素が十分に作れない→消化がつらい→ますます食べられない。この循環に入ると、少しずつ弱っていきます。ですから無理にたくさん食べるのではなく、「お肉が食べられる体になること」を目標に、少しずつ——当院ではそうお伝えしています。
キャベツと大根——旬の野菜の力
キャベツには胃に良い成分が含まれています(胃腸薬の「キャベジン」の名前は、キャベツ由来の成分にちなんでいます)。大根に含まれるジアスターゼも消化を助ける成分で、昔の胃薬はここから作られていました。食べ物と胃薬が地続きだった、という話です。
野菜には旬があります。ざっくり、立春(2月4日ごろ)からはキャベツなど春夏の野菜、立秋(8月8日ごろ)からは大根など秋冬の野菜が旬に入ります。胃への働きも、旬の季節のほうがよいと感じています。
まとめ——「朝の調子」を覚えておいてください
- 朝7時〜11時は「消化吸収の時間」。本来いちばん食べられるはずの朝に食欲がないのが、胃腸からのいちばんのサイン
- みぞおちの左は胃、おへその周りは腸。不調の場所で見当をつける
- 胃は温かいほうがよく働く。冷たいものは楽しみ程度に
- 立て直しの柱はタンパク質。少しずつ「食べられる体」へ
もし今、朝のつらさに心当たりがあれば、今の「朝の調子」を覚えておいてください。それが良くなってきたかどうかが、胃腸の回復を測るいちばん身近なものさしになります。
よくある質問
Q. 朝に食欲がないのは、どこが悪いのでしょうか?
A. 東洋医学では、朝7時〜11時は胃と脾(消化吸収を担う臓)の時間帯と考えます。本来なら一日で一番食欲が出るはずの時間なので、ここで食欲がわかない・もたれるのは、消化吸収の力が落ちているサインと診ています。昼や夜の食欲不振より、朝の食欲不振のほうを重く見ます。逆に、朝の調子が良くなってくることは、胃腸が回復に向かっている目安になります。
Q. 冷たい飲み物は、やめたほうがいいですか?
A. 一口も摂ってはいけない、という話ではありません。ただ、胃は温かいほうがよく働くため、冷たいものが続くと胃の働きが落ち、夏バテや食欲不振の一因になると考えています。ふだんの水分は常温か温かいものにして、冷たいものは楽しみ程度にするのがおすすめです。
Q. 胃の調子が悪いとき、何を食べればいいですか?
A. 柱はお肉やお魚などのタンパク質です。胃の修復の材料になります。ただし胃腸が弱っている方は肉が苦手なことも多いので、無理をせず少しずつが原則です。あわせて、キャベツ(春夏)や大根(秋冬)など、消化を助ける旬の野菜もおすすめしています。
検査では異常がないと言われる胃の不調でも、体の側から見ると、見当がつくことがあります。当院では、脈やお腹、前腕の状態を診たうえで、胃腸をどう立て直すかを考えていきます。

